障害福祉のアセスメントシートの
様式と書き方【項目別の観点つき】
アセスメントは、個別支援計画を作る前に、利用者の希望する生活や課題を把握する工程です。指定基準は、利用者に面接して行うよう定めています。
シートの様式に国の指定はありません。条文が定めているのは把握する中身で、シートの形は事業所が決められます。参考様式を示す自治体もあります。
把握するのは、利用者の能力、置かれている環境、日常生活全般の状況、希望する生活、課題です。意思決定に困難がある人には、意思や選好を丁寧に把握します。
- 面接
- 必須。面接の趣旨を説明し、理解を得る
- 様式
- 国の統一様式は無い。参考様式を示す自治体はある
- 把握する中身
- 能力・環境・日常生活全般の状況・希望する生活・課題
- 根拠
- 指定基準(平成18年厚生労働省令第171号)第58条第2項〜第4項
目次
アセスメントシートを探すと、まず「決まった様式はあるのか」で迷います。答えは、無い、です。条文が決めているのはシートの形ではなく、把握する中身のほうです。この記事では、条文が求める中身と、面接で聞く項目別の観点を整理します。
アセスメントで何を把握するのか
把握するのは、利用者の能力と置かれている環境、日常生活全般の状況、そして希望する生活や課題です。この5つは、条文がアセスメントを定義するときに使っている言葉です。
条文の組み立てには順番があります。能力・環境・日常生活全般の状況は、評価の対象です。その評価を通じて、希望する生活や課題を把握することが、アセスメントの目的にあたります。
だからシートの項目は、細かければよいわけではありません。希望と課題につながらない情報をいくら集めても、計画には使えないからです。
把握とあわせて、利用者の自己決定の尊重と、意思決定の支援への配慮も求められています。自ら意思を決定することに困難がある人には、意思・選好・判断能力を丁寧に把握します。
そしてアセスメントは、利用者に面接して行います。面接の趣旨を利用者に十分に説明し、理解を得ることまでが条文の要求です。記録の転記や家族への聞き取りだけで済ませる形は、この定めと合いません。
様式は決まっているのか
アセスメントシートの様式は国が定めておらず、どんな形のシートを使うかは事業所が決められます。
条文の言い方は「適切な方法により」です。定めているのは把握する中身であって、紙の形式ではありません。全国共通の様式が見つからないのは、探し方の問題ではなく、もともと無いからです。
ただし、何でもよいという話とも少し違います。指定権者(指定を受けた都道府県や市)が、参考様式を示している場合があります。実地指導で書類を見るのは指定権者なので、参考様式があるならそれに寄せておくほうが話が早く進みます。
探すときは、次の順で当たるのが早道です。
- 指定権者のサイトで、実地指導・集団指導の資料のページを見る
- 「アセスメントシート 障害福祉」に自治体名を足して検索する
- 見つからなければ、指定権者の窓口に参考様式の有無を問い合わせる
他の自治体の様式を土台にしても、条文上の問題はありません。様式は自由だからです。ただし項目のそろい方は様式ごとに違います。前の節の把握の中身が欠けていないかを確かめてから使ってください。
何をどう聞くのか
条文が挙げる把握の中身を、生活リズム・健康・コミュニケーション・作業・希望の5つの領域に割ると聞きやすくなります。
以下は、この5つの分け方で編集部が組んだ汎用の観点です。サービスの種類に合わせて、足し引きして使ってください。
生活リズム
通所や日課の組み立てに直結する領域です。
- 起床・就寝の時刻と、平日・休日の過ごし方
- 通所や外出の頻度と、続かなくなるときのきっかけ
- 食事・入浴・身支度で、自分でできることと手伝いが要ること
健康
支援中の安全と、体調の変化への気づきに使います。
- 通院先と頻度、服薬の内容と自己管理の程度
- 体調を崩すときのサインと、本人なりの対処
- 発作やアレルギーなど、緊急のときに職員が知っておくべきこと
コミュニケーション
意思の表し方が分かると、面接そのものの組み立ても変わります。
- 言葉・筆談・カード・表情など、意思を表す主な手段
- 初対面の人や集団の場面で、やりとりがどう変わるか
- 困ったときに、自分から助けを求められるか
作業・活動
できていることから書き始めると、目標の種が残ります。
- これまで経験した作業や活動と、そのときの様子
- 集中が続く時間と、疲れたときのサイン
- 好きな作業と苦手な作業、その理由
本人の希望
計画の出発点になる領域なので、本人の言葉のまま残します。
- 希望する生活と、やってみたいこと
- 働き方や工賃など、サービスに直接かかわる希望
- 家族の意向は、本人の希望とは分けて記録する
シートの欄は、この観点がほぼそのまま項目名になります。初回で埋まらない欄があっても構いません。空欄は「まだ聞けていないこと」の記録として、次の面接の材料になります。
聞きにくいことはどこまで聞くか
線引きの目安は、聞いた内容を個別支援計画のどこに使うのかを説明できる範囲までです。
条文が面接の趣旨の説明を求めているのは、ここと地続きです。何のために聞くのかを先に伝えれば、生育歴や金銭の話も唐突ではなくなります。逆に、使い道を説明できない質問は、そもそも聞く必要があるかを疑ってよい質問です。
意思決定に困難がある人では、丁寧さの要求が一段上がります。意思・選好・判断能力を丁寧に把握することが、条文に明示されているためです。本人が答えた形にして、実際には家族の答えで欄を埋める運用は、この要求と合いません。家族から聞いた内容は、本人の表出と分けて書きます。
初回の面接でシートを全部埋めようとしない方法があります。答えたくない様子が見えたら保留にして、空欄は「未聴取」と分かる形で残します。モニタリングの面接で少しずつ埋めるほうが、結局は正確な情報になります。
金銭や家族の話は、計画のどの欄に使うかを先に伝えてから聞きます。本人の言葉はかぎかっこのまま書き取り、職員の要約と混ぜないでおくと、原案の意向欄にそのまま生かせます。
※これは制度上の必須要件ではなく、一次情報から導ける運用例です。
アセスメントから原案へどうつなぐか
シートに残した希望と課題を、原案の意向・課題・目標の欄に対応させて書き移します。
対応のさせ方は、おおむね次のとおりです。
- 本人の希望 → 生活に対する意向の欄。かぎかっこの言葉をそのまま使う
- 把握した課題 → 生活全般の質を向上させるための課題の欄
- できていることと様子 → 目標と達成時期を決めるための材料
アセスメントは、一度やって終わりの工程でもありません。条文はモニタリングを、利用者についての継続的なアセスメントを含むものと定めています。計画を変更するときは、アセスメントからの手順を改めて踏みます。
原案から先には、会議・説明と同意・交付という決まりごとが続きます。この流れは個別支援計画の書き方にまとめています。
次に読むもの
シートから計画に進むときは、作成の手順と目標の書き方をあわせて確かめてください。
- 個別支援計画の書き方【完全ガイド】 … 作成の6段階と、同意・交付・見直しの決まり
- 個別支援計画の記入例・文例集 … 長期目標・短期目標・支援内容の文例10例
- モニタリングの書き方 … 継続的なアセスメントを、計画の見直しにつなぐ
よくある質問
個別支援計画の文例集(B型・グループホーム・生活介護)
長期目標・短期目標・支援内容の文例を、成人系のサービス3種類ぶん集めています。そのまま写さずに使うための考え方も添えています。
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