サビ管の兼務はどこまでOK?
管理者・直接支援・常勤換算のルール
サビ管を含む従業者は、勤務する事業所の職務に専従することが原則です。ただし指定基準には例外があり、利用者の支援に支障がない場合は兼務できます。管理者との兼務も、管理上支障がない場合は基準の上で認められています。
直接支援の職員と兼務する場合、員数は職務ごとに別々に数えます。サビ管は利用者数に応じた人数で、生活支援員などは常勤換算で数えます。多機能型の事業所は、利用者数の合計が60人以下なら1人のサビ管で足ります。
どこまで認めるかの運用は、指定権者である都道府県や市町村で違います。実際に兼務させる前に、指定申請や変更届の窓口で確かめてください。
- 管理者との兼務
- 管理上支障がない場合は基準上可能
- 直接支援との兼務
- 利用者の支援に支障がない場合は基準上可能
- 員数の数え方
- サビ管は人数、生活支援員などは常勤換算の別勘定
- 多機能型
- 利用者数の合計60人以下で1人以上(うち1人以上は常勤)
- 最終判断
- 指定権者(都道府県・市町村)への事前確認
目次
サビ管の兼務は、指定権者によって答えの変わりやすいテーマです。ただ、条文で言い切れる部分と、指定権者の判断に委ねられた部分は分けられます。ここでは指定基準の原文から、その線引きを整理します。
兼務の可否はどう決まっているのか
兼務の可否は、指定基準の専従の原則と、条文に置かれた例外に当てはまるかで決まります。
指定基準は、事業所の従業者に専従の原則を置いています。就労継続支援B型なら、従業者は専らその事業所の職務に従事する者でなければなりません。サビ管も、この従業者に含まれます。
ただし、条文はこの原則にただし書きを添えています。利用者の支援に支障がない場合は、この限りでないとされています。管理者の側にも別のただし書きがあり、管理上支障がなければ他の職務を兼ねられます。
| 規定 | 原則 | 例外(ただし書き) |
|---|---|---|
| 従業者サビ管・生活支援員などを含む | 専らその事業所の職務に従事する | 利用者の支援に支障がない場合は、この限りでない |
| 管理者 | 専ら管理者の職務に従事する | 管理上支障がない場合は、他の職務や他の事業所等の職務に従事できる |
出典:e-Gov法令検索 指定障害福祉サービス基準(平成18年厚生労働省令第171号)第51条・第186条第3項(いずれも第199条で就労継続支援B型に準用)(2026-08-31確認) 原文 ↗
ここで条文を正確に読んでおきます。従業者に求められているのは、事業所への専従です。サビ管という職務だけに専従することを求める書き方にはなっていません。管理者の条文が「専らその職務に従事する」と書いているのとは、書き分けられています。
一方で、「支障がない場合」が何を指すかの定義は、条文のどこにもありません。ここから先の判断は、指定を行う都道府県や市町村、いわゆる指定権者に委ねられています。同じ兼務の形でも、認められるかどうかが地域で割れるのはこのためです。
管理者と兼務できるか
管理者との兼務は、事業所の管理上支障がない場合に限り、基準の上で認められています。
管理者の条文は、専らその職務に従事する管理者を置くことを原則としています。そのうえで、管理上支障がない場合に次の2つを認めています。
- 同じ事業所の他の職務に従事すること
- その事業所以外の事業所や施設等の職務に従事すること
サビ管との兼務は、1つ目に当たります。管理者がサビ管を兼ねる形は、条文の上で禁止されていません。小規模な事業所では広く行われている形です。
ただし、管理者とサビ管では担う仕事が違います。管理者は従業者と業務の一元的な管理、サビ管は個別支援計画の作成です。兼ねる場合は、1人で両方の責任を負うことになります。役割の違いはサビ管と管理者・サ責・ケアマネ・児発管の違いにまとめています。
実態の数字もあります。のぞみの園の令和4年度調査には、共同生活援助の事業所への設問で、サビ管の76.7%が兼務しているという集計があります。兼務先の内訳では、世話人・生活支援員のみが35.7%でした。同一法人内の共同生活援助の管理者等が33.9%、共同生活援助以外の事業所が29.8%と続きます。
この設問は共同生活援助に限ったものです。サビ管全体の兼務率を示す統計は、この調査にはありません。それでも、管理者や現場との兼務が珍しくない実態は読み取れます。
何をもって「管理上支障がない」とするかの基準も、条文にはありません。利用者の人数や事業所の規模をどう見るかは、指定権者の判断です。兼務の形を決める前に、指定申請や変更届の窓口で確かめてください。
直接支援(生活支援員など)と兼務できるか
利用者の支援に支障がない場合に限り、生活支援員などとの兼務は基準の上で可能です。
根拠は、従業者の専従の原則に置かれたただし書きです。サビ管が現場の支援に入ること自体を禁じる条文は、指定基準にありません。
問題になるのは、員数の数え方です。サビ管と直接支援の職員では、数える仕組みが違います。
- サビ管 … 利用者数に応じた人数で数えます。就労継続支援B型なら利用者60人以下で1人以上、うち1人以上は常勤です
- 職業指導員・生活支援員 … 常勤換算で数えます。B型なら総数が、常勤換算で利用者数を10で割った数以上です
常勤換算は、従業者の勤務延べ時間数を、その事業所の常勤の従業者が勤務すべき時間数で割る方法です。この定義に沿うと、員数は職務ごとに別勘定になります。同じ勤務時間を、サビ管の分と生活支援員の分の両方に重ねて数えることはできません。
計算のイメージを1つ挙げます。常勤の勤務時間が週40時間の事業所で、生活支援員の業務に週16時間従事した人がいるとします。この人の生活支援員としての常勤換算は、16を40で割った0.4です。残りの時間をサビ管の業務に充てていても、0.4の側には入りません。
注意したいのは、常勤と専従が別の概念であることです。指定基準が定義を置いているのは常勤換算方法だけで、常勤そのものの定義は条文にありません。兼務者をサビ管の常勤1人と数えてよいかの取扱いは、指定権者に確かめてください。
兼務者の勤務表は、サビ管の時間と支援員の時間を分けて書いています。監査で員数を聞かれたとき、どの時間をどちらに数えたかを勤務表だけで説明できるようにするためです。
個別支援計画の期限が近い週は、先にサビ管の時間を確保してから現場のシフトを組みます。順番を逆にすると、計画の業務が現場の欠員の穴埋めに削られていきます。
※これは制度上の必須要件ではなく、当事業所での運用例です。
複数事業所・多機能型ではどうなるか
多機能型として一体的に運営する場合は、利用者数を合算して1人のサビ管を置けます。
多機能型は、生活介護・自立訓練・就労移行支援・就労継続支援A型・B型などのうち、2つ以上の事業を一体的に行う形です。指定基準に定義が置かれています。
多機能型のサビ管には員数の特例があります。一体的に事業を行う事業所を1つの事業所とみなして、利用者数の合計で員数を数えられます。
| 利用者数の合計 | 置くべきサビ管の数 |
|---|---|
| 60人以下 | 1人以上 |
| 61人以上 | 1人に、60人を超えて40人またはその端数を増すごとに1人を加えた数以上 |
| 常勤の要件 | この特例で置くサビ管のうち、1人以上は常勤 |
出典:e-Gov法令検索 指定障害福祉サービス基準(平成18年厚生労働省令第171号)第215条第2項(2026-08-31確認) 原文 ↗
たとえば、B型の利用者が25人、生活介護の利用者が20人の多機能型事業所を考えます。合計は45人なので、サビ管は1人で基準を満たします。利用者数は、どちらも前年度の平均値で数えます。
主たる事業所と一体的に運営する「従たる事業所」を置く形にも、決まりがあります。主従それぞれに常勤かつ専従の従業者が1人以上必要ですが、サビ管はこの対象から除かれています。サビ管を主従それぞれに置くことまでは求められていません。
これらの特例の外にあるのが、別々の指定を受けた2つの事業所の掛け持ちです。これを明文で認める規定は、指定基準にありません。専従の原則のただし書きに当たるかどうかの判断になり、扱いは指定権者で分かれます。
なお、共同生活援助は配置の刻みが利用者30人ごとで、常勤の要件もありません。サービスごとの必要人数はサビ管の配置基準にまとめています。
グレーになりやすい実例はどれか
条文だけで可否を言い切れない形は、指定権者への事前確認を前提に組み立ててください。
判断の割れやすい3つの形を挙げます。いずれも、禁止する条文も、認めると言い切る条文もありません。
施設長との兼務
施設長は、指定基準に出てくる職名ではありません。可否は呼び名ではなく、その人が事業所で何を担っているかで決まります。
その施設長が事業所の管理者に当たるなら、管理者の兼務として整理されます。管理上支障がない場合に認められる形です。法人本部の役職などで、事業所の管理者でも従業者でもない場合は、事業所の外の職務との掛け持ちになります。どちらの整理になるかも含めて、指定権者に事前に確認してください。
2つの事業所のサビ管の掛け持ち
多機能型でない2つの事業所を1人で掛け持ちする形には、明文の定めがありません。前の節のとおり、専従の原則のただし書きをどう読むかに懸かります。勤務時間や移動の実態をどう見るかは、指定権者ごとに違います。
相談支援専門員との兼務
相談支援専門員の側にも、専従の原則とただし書きがあります。指定計画相談支援の業務に支障がない場合は、他の事業所の職務に従事できるとされています。サビ管との兼務を名指しで禁じる条文は、どちらの基準にもありません。
ただし、支障がないかどうかの判断は、両方の事業の側で必要になります。それぞれの指定権者に確認してください。
事前確認には、週の時間割の案と業務分担の一覧を持ち込みます。口頭で「兼務できますか」と聞くより、判断がはっきり返ってきます。
確認した内容は、日付と担当者名を添えて記録に残します。あとから運用が変わったときに、いつの時点の確認だったかを示せるようにしています。
※これは制度上の必須要件ではなく、当事業所での運用例です。
兼務が崩れるとどうなるか
兼務の設計が崩れてサビ管の員数が欠けると、事業所の利用者全員の報酬が減算されます。
サビ管の欠如減算は、欠如した月の翌々月から始まります。ただし、翌月の末日までに解消すれば減算されません。減算後の割合は、減算の4か月目までが所定単位数の70%、5か月目からは50%です(平成18年厚生労働省告示第550号・障発第1031001号)。
兼務との関係で注意したいのは、対象の広さです。多機能型で利用者数を合算してサビ管を置いている場合、減算は合算しているすべてのサービスの利用者に及びます。1人の兼務で複数の事業を支えている事業所ほど、崩れたときの影響は大きくなります。
減算の数え方の詳細と、やむを得ない事由があるときのみなし配置は、次の記事にまとめています。
- サビ管欠如減算 … 減算の開始時期・率・回避の条件
次に読むもの
配置の人数と、欠けたときのルールをあわせて確かめてください。
- サビ管の配置基準 … サービスごとの必要人数と常勤の扱い
- サビ管と管理者・サ責・ケアマネ・児発管の違い … 兼務相手になる職種の役割の違い
- 就労継続支援B型のサビ管の仕事内容 … B型の現場での配置と兼務の実情
よくある質問
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