サービス管理責任者が
きついと言われる理由と、続けるための工夫
サービス管理責任者がきついと言われる中心は、業務を一人で抱える構造にあります。全国調査では、個別支援計画の作成をサビ管等が単独で行っている事業所が38.4%ありました。
きつさの要素は5つに分けられます。計画業務の抱え込み、1人配置の孤独、兼務の多さ、減算に直結する責任、期限管理の連続です。
この構造は変えられます。個別支援計画の業務は、告示上、基礎研修修了者に担当させることができます。個別支援会議をチームで行っている事業所は86.8%あり、分担のほうが多数派です。
- 個別支援計画の作成を単独で行う事業所
- 38.4%
- 原案の作成を単独で行う事業所
- 34.2%
- サビ管等の確保が困難と感じる法人
- 48.0%
- 兼務している人(GHのサビ管)
- 76.7%
- 平均年齢/平均勤続年数
- 48.9歳/11.8年
目次
サビ管がきついという声は、個人の感想として語られがちです。ここでは感想ではなく、全国調査の数字からきつさの正体を確かめます。そのうえで、構造をほどいて続けるための工夫を並べます。
きついと言われる理由は何か
きつさの中心は、計画の業務を一人で抱える構造にあります。調査の数字で裏づけられる理由は5つです。
数字の出どころは、のぞみの園が全国1万事業所に行った令和4年度の調査です。有効回答は2,115事業所でした。サビ管と児発管をあわせた集計なので、以下では「サビ管等」と書きます。
理由1 計画の業務を一人で抱えやすい
個別支援計画の作成を、サビ管等が単独で行っている事業所は38.4%あります。原案の作成も34.2%が単独です。
| 業務 | 単独で行っている | サビ管等が中心となりチームで行っている |
|---|---|---|
| 個別支援計画の作成 | 38.4% | 57.8% |
| 個別支援計画原案の作成 | 34.2% | 61.7% |
| 利用者のアセスメント | 26.2% | 69.8% |
| 利用者のモニタリング | 19.7% | 75.4% |
| 個別支援会議の開催 | 8.0% | 86.8% |
出典:独立行政法人のぞみの園 令和4年度調査研究 問23(n=2,115・2026-08-31確認) 原文 ↗
計画は、アセスメントから同意・交付、モニタリングまで期限のある一連の業務です。利用者が20人いれば、この一連が20本並行します。一人で抱える構造のまま利用者が増えると、業務は足し算で積み上がります。
理由2 事業所に1人の配置になりやすい
配置の基準は、多くのサービスで利用者60人以下につき1人以上です。定員20人の事業所なら、サビ管は基準上1人で足ります。
1人配置には、同じ立場の相談相手が職場にいないという面があります。のぞみの園の調査にも、プレッシャーや行き詰まりを感じるので悩みを話し合える場が身近に欲しい、という趣旨の自由記述が寄せられています。地域のネットワークに参加していない理由としては、業務が多忙で参加できない、人的な余裕がない、といった回答が挙がっていました。
理由3 兼務でサビ管の業務に集中できない
サビ管の業務だけをしている人は、多数派ではありません。のぞみの園の調査では、共同生活援助のサビ管219人のうち76.7%が他の業務を兼務していました。
内訳で最も多いのは、世話人・生活支援員との兼務で35.7%です。この数字は共同生活援助に限った設問なので、全サービスの兼務率ではありません。ただし他のサービスでも、現場の支援に入りながら計画を回す形は珍しくありません。兼務が重なるほど、期限のある計画業務は後ろに回されやすくなります。
理由4 減算の責任が自分にひもづく
サビ管が欠けたままだと、事業所は利用者全員の報酬を減算されます。欠如した月の翌々月から所定単位数が70%になり、減算が5か月目に入ると50%まで下がります。
個別支援計画の手続きに不備があったときも、該当する利用者について同じ率の減算があります。のぞみの園の調査では、未作成減算を受けたことがある事業所は4.5%でした。件数は多くありませんが、自分の業務の遅れが事業所全体の収入に直結するという重さは、他の職種にはあまりない性質です。減算の仕組みはサビ管欠如減算の記事にまとめています。
理由5 期限の管理がずっと続く
モニタリングによる計画の見直しは、少なくとも6月に1回以上と定められています。利用者ごとに周期が動くので、期限の管理には終わりがありません。
自分自身の資格にも期限があります。更新研修は5年度ごとの各年度の末日までに修了する必要があります。期限を過ぎると基礎研修修了者に戻る扱いになり、実践研修からやり直しです。のぞみの園の調査でも、更新研修の負担を理由に確保が難しいという趣旨の回答が寄せられていました。期限の数え方は更新研修の記事で確認できます。
それは自分だけではないのか
同じきつさは全国の調査回答に繰り返し表れており、個人の力量だけの問題ではありません。
のぞみの園の調査では、サビ管等の人員確保が困難と感じている法人が48.0%ありました。理由の1位は、実務経験の要件を満たす者の不足で51.2%です。任せられる人材の不足も50.5%で並びます。確保が困難な法人は約半数という数字は、この仕事の担い手がそもそも足りていないことを示しています。
自由記述には、担い手の側の負担も表れています。業務量が多すぎて敬遠される、研修を終えたのにサビ管になることを断る職員がいる、といった趣旨の回答です。報酬や待遇が仕事量や責任に見合っていない、という趣旨の意見もありました。
調査の報告書自体が、経験の浅い人が多岐にわたる業務を担っている現状と、悩みを共有する場づくりの必要性を指摘しています。きついと感じることは、調査の設問と回答の水準で確かめられる、広く共有された実態です。
続けるための工夫は何か
工夫の軸は、一人で抱える構造をほどくことです。計画の業務は、制度の上でも分担できます。
実施の方法をチーム型に寄せる
調査では、どの業務もチームで行うほうが多数派でした。個別支援会議の開催は86.8%、モニタリングは75.4%の事業所がチームで行っています。
計画の作成も57.8%はチーム型です。単独作成の38.4%は、多数派の姿ではありません。アセスメントの材料集めやモニタリングの記録は、日々利用者と接している支援員のほうが持っています。全部を自分で見る形から、集まった材料を自分がまとめる形に寄せるだけで、業務の総量は変わります。
原案の分担には告示の根拠がある
サビ管が配置されている事業所では、基礎研修修了者に個別支援計画の業務を担当させることができます。告示544号のホが、その場合に基礎研修修了者を配置数に算入できると定めています。
つまり、原案の作成を若手と分担する形は、告示が想定している運用です。次のサビ管を育てる仕組みとしても機能します。分担しても、面接によるアセスメントや説明・同意といった節目は残るので、質の管理はサビ管の手元に残ります。
調べ先を先に決めておく
判断に迷ったとき、どこで確かめるかを決めておくと、抱え込みが減ります。制度の要件は告示や省令の原文で、都道府県ごとに違う運用は指定権者の窓口で確かめます。解説記事の孫引きで判断すると、間違った要件を背負い込むことになります。
計画の手続きと期限は、次の記事に分けてあります。
- 個別支援計画の書き方 … 作成の6段階と、同意・交付・見直しの期限
一緒に働いていて思うのは、サビ管の負荷は本人の頑張りではなく、事業所の設計で決まるということです。当事業所では、モニタリングの期限一覧を職員全員が見える場所に置き、遅れの兆しを本人が言い出す前に拾えるようにしています。
分担の相手は、急には作れません。基礎研修を受けられる職員には早めに受けてもらい、原案の下書きから渡しています。サビ管が1人で全部を書く月をなくすことが、いちばん効く負荷の下げ方でした。
※これは制度上の必須要件ではなく、当事業所での運用例です。
向いている人・向かない人はいるのか
向き不向きそのものを測った公的調査は見当たりません。言えるのは、業務の性質から見た合いやすさまでです。
業務の中心は、面接で聞き取り、計画にまとめ、会議で調整し、期限どおりに記録を残すことです。この形から考えると、次のような人には合いやすい仕事です。
- 人と話して決めていく進め方が苦にならない人
- 締切と記録の管理を仕組みで回せる人
- 自分から相談先やネットワークを作りにいける人
逆に、期限管理の連続や、支援と書類の両立に強い負担を感じる人には、きつさが出やすい仕事です。ただし、断定はできません。同じ人でも、単独作成の事業所ではつぶれ、分担のある事業所では続くということが起こります。向き不向きより先に構造を疑ってみる価値があります。
自分に向いているかを収入面から確かめたい人は、サビ管の年収の記事で公的調査の数字を見てください。現場の実際の業務は、B型のサビ管の仕事内容が具体的です。
それでも限界のときはどうするか
辞める決断の前に、配置と分担の見直しを法人に相談する道があります。
兼務を外す、原案の分担相手を置く、法人内の別事業所に移るという選択肢は、どれも資格を手放さずに済みます。名前だけ配置されて実務が回っていない状態なら、その解消が先です。この形の問題は名ばかりサビ管の記事に分けています。
サビ管の職を離れる場合も、実践研修まで修了した経歴は消えません。ただし更新研修の期限は年度で進むので、離れている間も止まりません。受講対象には、受講開始日前5年間に通算2年以上従事していた人も含まれます。戻る可能性を残すなら、期限の管理だけは続けてください。
後任が決まらないまま欠員になると事業所には減算が生じますが、その手当ては事業所側の仕事です。やむを得ない欠員に備えたみなし配置の仕組みも用意されています。引き継ぎを整えたうえでの決断であれば、抱え込む必要はありません。
次に読むもの
きつさの背景にある待遇と、現場の実際は別の記事にしています。
- サビ管の年収はいくらか … 平均給与額と内訳を公的調査から集計
- 就労継続支援B型のサビ管の仕事内容 … いちばん人数の多い現場の1年
- 名ばかりサビ管の問題 … 名義だけの配置がなぜ危ないか
よくある質問
個別支援計画の文例集(B型・グループホーム・生活介護)
長期目標・短期目標・支援内容の文例を、成人系のサービス3種類ぶん集めています。そのまま写さずに使うための考え方も添えています。
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