サビ管の「これで合っているか」に答えます

個別支援計画の長期目標・短期目標の例
期間の目安と領域別の書き分け方

最終更新|制度基準日
執筆:徳永 崇志(就労継続支援B型事業所の運営者)
初回公開
要点

個別支援計画の長期目標と短期目標は、条文の上では区別されていません。条文が求めているのは、目標とその達成時期を書くことだけです。

長期を1年、短期を3か月とする決まりもありません。成人の障害福祉サービスでは、期間を定めた条文も通知も置かれていません。

実務では、短期目標の達成時期を計画の見直しの周期に合わせます。周期は少なくとも6月に1回以上で、自立訓練・就労移行支援・自立生活援助は3月に1回以上です。

条文が求めていること
目標及びその達成時期(長期・短期という区分はない)
期間の定め
成人の障害福祉サービスには無い
国が示した参考様式
生活介護の様式に長期・短期の欄はあるが、年数は書かれていない
「長期1年・短期6か月」の出どころ
児童発達支援・放課後等デイサービス向けの資料
実務での置き方
短期の達成時期を見直しの周期(6月/3月)に合わせる
制度基準日2026.09.21
根拠:指定障害福祉サービス基準(平成18年厚生労働省令第171号)第58条第5項・第9項
目次

個別支援計画の目標欄で手が止まるのは、長期と短期をどう分けるかが決まらないときです。「長期は1年、短期は3か月」という説明はよく見かけますが、その根拠を条文で確かめた人は多くありません。ここでは期間の決まりの有無を原文から確かめたうえで、領域別の目標例を長期・短期の対でまとめます。

なお、この記事の目標例はすべて架空のものです。特定の利用者の事例ではありません。

長期目標と短期目標はどう違うのか

条文に長期・短期という区分はなく、違いは達成時期をどれだけ先に置くかだけです。

指定基準が計画の原案に書くよう求めているのは5項目です。意向、総合的な支援の方針、課題、目標及びその達成時期、提供上の留意事項の5つで、目標は1種類しか置かれていません。

それでも実務で分けて書くのは、達成時期が遠い目標だけでは支援が動かないからです。1年先の姿を1つ置き、そこへ向かう最初の一歩を別に置く。この二段構えを、長期目標と短期目標と呼び分けています。

使い分けの目安はこう考えると崩れません。

  • 長期目標:本人が向かいたい先。次の計画期間の終わりに近づいていたい状態
  • 短期目標:次の見直しまでに手が届く一歩。達成したかどうかをその場で判定できる粒度

期間に決まりはあるのか

成人の障害福祉サービスには、長期目標と短期目標の期間を定めた条文も通知もありません。

指定基準、その解釈を示した通知、報酬告示、留意事項通知のいずれにも、長期目標・短期目標という言葉そのものが出てきません。解釈通知が挙げているのも、条文と同じ「目標及びその達成時期」です。

一方で、国が示した様式には長期・短期の欄があります。生活介護の個別支援計画書の参考様式で、令和6年度報酬改定のQ&Aの別添として示されたものです。ただし欄名は「長期目標(内容・期間等)」までで、年数は書かれていません。

長期目標・短期目標の期間について、国の資料が書いていること
資料期間について書かれていること対象
指定障害福祉サービス基準第58条第5項「目標及びその達成時期」とだけ定めている。長期・短期の区分も、期間の定めもない障害福祉サービス全般
解釈通知平成18年12月6日障発第1206001号計画に記載する事項を条文と同じ並びで示している。期間についての記述はない同上
個別支援計画参考様式令和6年度報酬改定Q&A VOL.2 問21の別添「長期目標(内容・期間等)」「短期目標(内容・期間等)」の欄はあるが、年数は書かれていない生活介護
個別支援計画の記載のポイントこども家庭庁 令和6年5月20日 別紙1長期目標は概ね1年程度、短期目標は概ね6か月程度。達成時期は最長6か月後までとし、1〜3か月の目標も積極的に検討する児童発達支援・放課後等デイサービス
指定障害福祉サービス基準第58条第9項計画の見直しは少なくとも6月に1回以上。自立訓練・就労移行支援・自立生活援助は3月に1回以上障害福祉サービス全般

出典:厚生労働省 指定障害福祉サービス基準(平成18年厚生労働省令第171号)第58条/同 令和6年度障害福祉サービス等報酬改定等に関するQ&A VOL.2 問21・別添/こども家庭庁 個別支援計画の記載のポイント(2026-09-21確認) 原文 ↗

表の4行目が、「長期は1年、短期は6か月」という説明の出どころです。ただしこれは障害児通所支援に向けた資料で、成人のサービスに及ぶものではありません。B型やグループホームの計画に、この年数が義務として掛かることはありません。

では成人側は何を手がかりに置くか。条文にある手がかりは、見直しの周期です。少なくとも6月に1回以上、自立訓練・就労移行支援・自立生活援助では3月に1回以上と定められています。

短期目標の達成時期をこの上限に合わせておけば、見直しの場でそのまま達成を判定できます。長期目標は、計画期間をひとまわり超える先に置くと収まりがよくなります。期間の根拠を実地指導で聞かれたときも、見直しの周期から説明できます。

実務ではこう組めます

事業所の様式に「長期目標(1年)」と印字されていることがあります。印字そのものは問題ありませんが、利用期間が半年で終わる見込みの人に1年の目標を置くと、達成の判定ができないまま終わります。様式の括弧書きは目安として扱い、必要なら期間を書き替えてください。

更新のたびに長期目標を丸ごと入れ替えると、支援の筋が毎回切れます。長期目標は同じまま残し、短期目標だけを積み上げる回があってよいものです。据え置いた理由をモニタリング記録に残しておけば、見直しをしていない状態とは区別されます。

※これは制度上の必須要件ではなく、一次情報から導ける運用例です。

本人の意向から目標へどう落とすか

意向をそのまま長期目標に写さず、達成したと言える場面を1つ選んで短期目標に置きます。

条文は、アセスメントで本人の希望する生活や課題を把握し、そこから支援内容を検討すると定めています。順番は、意向が先で目標が後です。目標の文例を先に選んでから意向を埋めると、この順番が逆になります。

落とし込むときの勘どころは3つあります。

  • 主語を本人にする。「職員が声をかける」は支援内容であって、本人が到達する状態ではない
  • 測れる言葉にする。回数・時間・期限のどれかを入れ、記録だけで判定できるようにする
  • 支援者の都合を目標にしない。「職員の負担を減らす」は事業所の課題で、本人の目標ではない

主語については、こども家庭庁が児童向けの資料で「主語はこども本人や家族となるよう記載することを基本とする」と明示しています。成人のサービスに掛かる定めではありませんが、考え方はそのまま通ります。

意向が長い言葉で語られたときは、その中から半年で検証できる部分を1つ取り出します。「もっと自信をつけたい」であれば、自信がついたと言える場面を本人と一緒に決める。その場面での行動が短期目標になります。

実務ではこう組めます

面接で出た言葉を、意向の欄にかぎかっこのまま残しておくと、目標を作る段階で戻れます。目標だけを見直すと支援者の見立てに寄っていきますが、本人の言葉が同じ紙の上にあると気づけます。

言葉が出にくい利用者では、選んだ場面や表情の記録を意向の根拠にします。家族から聞き取った内容は、本人の希望と分けて書いておきます。

※これは制度上の必須要件ではなく、一次情報から導ける運用例です。

領域別の目標例にはどんなものがあるか

長期は1年前後で向かう先、短期は次の見直しまでに届く一歩として、対にして並べます。

以下は架空の例です。そのまま写すためのものではなく、自分の事業所の作業名や生活の場面に置き換えて使ってください。利用者が違うのに同じ目標が並ぶ計画は、アセスメントの記録と突き合わせればすぐに分かります。

領域長期目標の例(1年前後を想定)短期目標の例(3〜6か月を想定)
生活リズム平日は毎朝7時までに起き、朝食をとってから家を出る起きた時刻を記録カードに毎日書き、週末に職員と見返す
生活リズム昼夜が逆転した日を、ひと月に2日までにおさえる就寝前にスマートフォンを決めた場所に置く(週4日)
健康管理受診を予定どおり続け、薬の飲み忘れを月1回までにする朝の薬を服薬ケースから自分で出して飲む
健康管理体調の変化に気づいたら、その日のうちに職員へ伝える朝の検温を自分で行い、数値を記録票に書く
健康管理疲れを感じたときに、自分で休憩をとって作業に戻る午前と午後に1回ずつ、休憩の時刻を自分で決めてとる
作業・就労一人で最後まで進められる作業を3種類にする検品の作業を、手順書を見ながら一人で終える
作業・就労就労移行支援の見学に行き、次の進路を自分で決める月1回、職員と求人票や事業所の資料を一緒に読む
作業・就労遅刻や欠勤の連絡を、始業前に自分から電話で入れる遅れそうな日に、家族と一緒に事業所へ電話をかける
対人関係分からないことを、その場で担当職員に質問する作業の始めに、その日の担当職員の名前を確かめる
対人関係苦手な相手と同じ場にいても、席を立たずに作業を続ける気持ちが乱れたとき、決めた場所へ移動して5分休む
対人関係利用者同士の話し合いの場で、自分の考えを1つ言う朝の会で、その日の体調をひと言で伝える
金銭管理給料日から次の給料日まで、生活費を自分で分けて使う1日に使う上限額を決めて、メモに書いてから出かける
金銭管理ほしいものの代金を、3か月かけて自分で貯める月にいくら残せるかを、職員と一緒に計算する
金銭管理公共料金の支払いを、期日までに自分で済ませる支払いの期日をカレンダーに自分で書き写す
余暇休日の過ごし方を自分で決め、月2回は外出する行ってみたい場所を3つ挙げ、写真つきの一覧を作る
余暇同じ趣味の集まりに月1回参加する地域のサークルの見学に、職員の同行つきで1回行く
住まい・家事居室の掃除と洗濯を、決めた曜日に一人で行う洗濯物を自分で干して取り込む(週2回)
住まい・家事冷蔵庫の食材を確かめてから買い物に行き、使い切る買う物のメモを、冷蔵庫を見てから作る
住まい・家事部屋の片づけを週1回行い、通路に物を置かない状態を保つ寝る前に、机の上の物を決めた場所へ戻す
移動・外出通所の行き帰りを、乗り換えを含めて一人で移動する最寄り駅から事業所までを、職員が後ろから見守る形で歩く

対にするときは、短期目標を達成したら長期目標に一歩近づく関係になっているかを確かめます。並べてみて関係が説明できない組は、どちらかが本人の意向から外れています。

サービス種別ごとの書き分けは、別の記事にまとめています。就労継続支援B型と共同生活援助については、工賃や日中活動先との連携まで含めた記入例を用意しました。

直したほうがよい目標はどれか

判定できない言葉と、主語が職員になっている目標は、そのままでは使えません。

条文は目標と一緒に達成時期まで書くよう求めています。いつ達成したと言えるのかが決まらない目標は、この要求を満たせません。よく残っている書き方を4つ挙げます。

「健康に気をつける」

  • 直す前(長期目標):健康に気をつける
  • 直した後(長期目標):受診を予定どおり続け、薬の飲み忘れを月1回までにする

「気をつける」は心構えであって、行動ではありません。誰が見ても同じ判定になる行動に置き換えます。受診と服薬なら、通院記録と服薬ケースの残りで確かめられます。

「職員が毎日声をかける」

  • 直す前(短期目標):職員が毎日声をかけて、通所を促す
  • 直した後(短期目標):前夜に翌日の持ち物をそろえてから寝る(週3日)
  • 直した後の支援内容:生活支援員が朝の出欠を記録し、2日続けて欠席した日はサービス管理責任者が本人へ電話する

職員の動きは支援内容の欄に書くものです。目標の欄に入れると、本人が何に近づいているのかが計画から消えます。欄を分けるだけで、モニタリングで見る対象もはっきりします。

「規則正しい生活を送る」

  • 直す前(長期目標):規則正しい生活を送る
  • 直した後(長期目標):平日は毎朝7時までに起き、朝食をとってから家を出る

範囲が広すぎる目標は、どこから手をつけるかが決まりません。本人の生活のどこが困っているかをアセスメントで1か所に絞り、そこだけを目標にします。

「将来に向けて力をつける」

  • 直す前(長期目標):将来に向けて力をつける
  • 直した後(長期目標):就労移行支援の見学に行き、次の進路を自分で決める
  • 直した後(短期目標):月1回、職員と求人票や事業所の資料を一緒に読む

期限を置けない目標は、達成時期の欄が埋まりません。将来の話であっても、計画期間の中で起きる出来事に翻訳すれば期限を置けます。

「頑張る」「見守る」の直し方は、個別支援計画の記入例・文例集で別の例を使って説明しています。

達成できたかはどう判断するのか

短期目標の達成時期を見直しの周期に合わせておくと、モニタリングの場でそのまま判定できます。

判定の材料は、目標に入れた回数や時間です。「週3日」と書いたなら通所記録、「自分で伝える」と書いたなら支援記録が材料になります。目標を立てた時点で材料も決まるので、何の記録で見るかを支援内容の側に書いておきます。

見直した結果、目標を変えるときは、アセスメントから交付までの手順をもう一度たどります。条文が、作成の規定を計画の変更に準用しているためです。達成時期だけを書き替えて終わりにはできません。

変えない判断もあります。長期目標をそのまま続けると決めたときは、その理由を記録に残します。記録が無いと、見直しをしていない状態と区別が付かなくなります。

記録の書き方と面談の進め方は、モニタリングの書き方にまとめています。

次に読むもの

目標の材料を集めるところと、サービス種別ごとの書き方は、それぞれ別の記事にしています。

よくある質問

Q. 長期目標は1年、短期目標は3か月という決まりですか?
A. 決まりではありません。成人の障害福祉サービスの条文と通知には、長期・短期の期間を定めた記述がありません。広く使われている目安なので、事業所の様式に合わせて構いません。根拠を聞かれたら「条文に定めはない」と答えるのが正確です。
Q. 長期目標と短期目標は何が違うのですか?
A. 違いは達成時期をどれだけ先に置くかだけです。条文は目標を1種類しか定めておらず、長期と短期に分けて書くのは実務の工夫です。長期は向かいたい先、短期は次の見直しまでに手が届く一歩、という分け方が使いやすくなります。
Q. 短期目標はいくつ立てればいいですか?
A. 数の決まりはありません。条文にも国の参考様式にも、目標の数を定めた記述はありません。モニタリングのたびに1つずつ判定することを考えると、同時に追えるのは3つ前後までです。
Q. 目標の主語は本人と職員のどちらにしますか?
A. 本人を主語にするのが基本です。「職員が声をかける」は支援内容であって、本人が到達する状態ではありません。目標の欄には本人がとる行動を書き、職員の動きは支援内容の欄に分けて書きます。
Q. 目標の期間は途中で変えられますか?
A. 変えられます。条文は、必要に応じて計画を変更するよう定めています。ただし日付だけを書き替えることはできません。変更のときも、アセスメントから同意・交付までの手順をもう一度たどります。
この記事の根拠資料
2.
厚生労働省
2026-09-21確認。(7)療養介護計画の作成等。計画に記載する事項を条文と同じ並びで示しており、長期・短期の区分や期間の記述はない
3.
厚生労働省
2026-09-21確認。別添の様式(https://www.mhlw.go.jp/content/001241671.xlsx )に「長期目標(内容・期間等)」「短期目標(内容・期間等)」の欄がある。年数の記載はない
4.
こども家庭庁
2026-09-21確認。長期目標は概ね1年程度、短期目標は概ね6か月程度と示している。対象は児童発達支援及び放課後等デイサービス
最終確認:2026.09.21

この記事の更新履歴

2026.09.21公開
執筆
徳永 崇志

徳永 崇志

就労継続支援B型事業所の運営者

埼玉県志木市で就労継続支援B型事業所「ぽちぽちの道」(事業所番号 1112200454)を運営しています。サービス管理責任者と一緒に働きながら、配置基準や減算の判断に日々向き合っています。

サビ管ラボでは、厚生労働省の告示・通知や都道府県の公式資料にあたって、制度と実務を整理しています。

著者について →
文例集

個別支援計画の文例集(B型・グループホーム・生活介護)

長期目標・短期目標・支援内容の文例を、成人系のサービス3種類ぶん集めています。そのまま写さずに使うための考え方も添えています。

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