就労継続支援B型の個別支援計画 記入例8本
目標と支援内容の書き方
就労継続支援B型の個別支援計画は、条文が定める5つの事項を書きます。意向、総合的な支援の方針、課題、目標と達成時期、留意事項です。B型に固有の記載事項は置かれていません。
目標は、観察できる行動と達成時期をそろえて書きます。この記事では、パソコン作業・在宅利用・体調の波・施設外就労など、B型で相談の多い場面から8本の記入例を載せています。
工賃の額は必須の記載事項ではありません。在宅で利用する人と、施設外就労や施設外支援に参加する人では、計画や運営規程に求められることが変わります。
- 計画に書く事項
- 意向/支援の方針/課題/目標と達成時期/留意事項
- 計画の呼び名
- 就労継続支援B型計画(第202条で読み替え)
- 見直しの周期
- 少なくとも6月に1回以上
- 工賃の額
- 計画の必須の記載事項ではない
- 収録している記入例
- B型のみ8本(すべて架空)
目次
就労継続支援B型の記入例を探すと、児童向けの例や、複数のサービスをまとめた例に行き当たります。B型の場面だけで書かれたものは多くありません。ここでは、B型で相談の多い場面から8本の記入例を並べます。工賃や在宅利用、就労選択支援との関係も、条文と通知の原文から整理します。
B型の個別支援計画には何を書くのか
計画に書く事項は条文が5つ定めていて、B型ではこれを就労継続支援B型計画と呼びます。
条文が挙げているのは次の5つです。
- 利用者及びその家族の生活に対する意向
- 総合的な支援の方針
- 生活全般の質を向上させるための課題
- サービスの目標及びその達成時期
- サービスを提供する上での留意事項
B型に固有の記載事項は置かれていません。根拠になる条文は療養介護の章にあり、B型の章の第202条がこれを読み替えて準用しています。
全国共通の様式もありません。条文が定めているのは書く事項であって、様式そのものではないためです。都道府県や市が参考様式を配っていることがあります。実地指導で使われるのはその様式なので、指定権者の案内を先に見てください。
記入例はどう使えばよいのか
記入例は写すためのものではなく、本人のアセスメントに合わせて言葉を置き換えるための型です。
計画は、面接によるアセスメントから立ち上げます。記入例から先に埋めると、この順番が逆になります。利用者が違うのに同じ目標が並ぶ計画は、記録と突き合わせればすぐに分かります。
この記事の記入例は、次の6つをそろえた形で書いています。
- 本人の希望 … 面接で本人が話した言葉に近い形で残す
- 長期目標 … 1年程度で目指している状態
- 短期目標 … 3か月から6か月で確かめられる行動
- 支援内容 … 誰が、いつ、何をするか
- 達成時期 … 長期と短期のそれぞれについて書く
- 担当 … 日々の支援と、振り返りの担当を分けて書く
長期と短期の期間に条文の定めはありません。実務では、短期目標を見直しの周期に合わせておくと評価しやすくなります。
「頑張る」「見守る」のような書き方を直す手順は、別の記事にまとめています。
- 個別支援計画の記入例・文例集 … 評価できない表現の直し方と、グループホーム・生活介護の文例
- アセスメントシートの様式と書き方 … 面接で何を聞き、どう記録に残すか
B型の記入例8本
8本は、パソコン作業・在宅利用・体調の波など、B型で相談の多い場面から選びました。
作業の名前や時間は事業所ごとに違います。自分の事業所のものに置き換えて使ってください。記入例はすべて架空のもので、特定の利用者の事例ではありません。
記入例1:パソコン作業のスキルを伸ばしたい人
- 本人の希望:「パソコンの仕事を任せてもらえるようになりたい」
- 長期目標:データ入力の作業を、手順書を見ながら最後まで一人で進める
- 短期目標:入力の練習課題に週3回取り組み、1回あたり30件まで進める
- 支援内容:職業指導員が週1回20分、入力の手順を一緒に確認する。つまずいた操作は、手順書に画面の写真を足す。月末にサービス管理責任者が入力件数の記録を本人と見て、次の課題を決める
- 達成時期:長期1年/短期3か月
- 担当:職業指導員(日々の作業)、サービス管理責任者(月1回の振り返り)
記入例2:在宅で利用している人
- 本人の希望:「体調に合わせて家で働きながら、事業所ともつながっていたい」
- 長期目標:在宅での作業を週4日続け、月1回は通所して作業の出来ばえを確認する
- 短期目標:始業と終業の連絡を毎回自分から入れ、その日の作業量を日報に書く
- 支援内容:職業指導員が1日2回、作業の進み方と体調を確認して日報に残す。1週間に1回、ビデオ通話で作業の出来ばえを評価する。月1回は本人が通所し、目標の達成度をサービス管理責任者と確認する
- 達成時期:長期1年/短期3か月
- 担当:職業指導員(日々の連絡と日報)、サービス管理責任者(月1回の評価)
記入例3:体調の波が大きい人
- 本人の希望:「調子が悪い日があっても、通い続けたい」
- 長期目標:月の通所日数を10日以上に保ち、休んだ翌日は自分から連絡を入れる
- 短期目標:休む日は、当日の朝までに電話かメッセージで自分から連絡する
- 支援内容:生活支援員が通所日と体調の記録を毎日つける。2週続けて通所が減ったら、サービス管理責任者が作業量の調整を本人と相談する。通院のある月は、作業の予定を先に軽くしておく
- 達成時期:長期1年/短期6か月
- 担当:生活支援員(日々の記録)、サービス管理責任者(作業量の調整)
記入例4:人と話す場面が苦手な人
- 本人の希望:「人が多いところが苦手。それでも仕事は続けたい」
- 長期目標:決まった席で1日4時間の作業を続け、休憩は人数の少ない時間帯を自分で選ぶ
- 短期目標:作業の開始と終了のあいさつを、決めた職員1人に伝える
- 支援内容:生活支援員が席と担当職員を固定し、変えるときは前日までに本人へ伝える。人数が増える時間帯は、別室の席を使えるようにする。3か月ごとにサービス管理責任者が面談し、席と時間帯の希望を聞き直す
- 達成時期:長期1年/短期3か月
- 担当:生活支援員(席と時間帯の調整)、サービス管理責任者(3か月ごとの面談)
記入例5:施設外就労に参加する人
- 本人の希望:「事業所の外でも働けるか、試してみたい」
- 長期目標:施設外就労に月4回参加し、作業の手順を自分で確認してから始める
- 短期目標:施設外就労に月2回、支援員の同行つきで参加する
- 支援内容:職業指導員が同行し、作業の内容と本人の様子を実績の記録に残す。参加の前に、当日の手順と休憩の取り方を本人と確認する。達成度の評価の結果、必要があればサービス管理責任者が施設外就労の目標を見直す
- 達成時期:長期1年/短期6か月
- 担当:職業指導員(同行と記録)、サービス管理責任者(目標の見直し)
記入例6:年齢とともに体力が落ちてきた人
- 本人の希望:「無理をしないで、できるだけ長く通いたい」
- 長期目標:午前だけの作業に週4日参加し、1年を通して通所を続ける
- 短期目標:座ってできる作業に持ち替え、途中で15分の休憩を1回とる
- 支援内容:職業指導員が立ち作業と座り作業を組み替え、本人が選べるようにする。生活支援員が休憩の時間を声かけで区切る。半年ごとに、通院先から聞いた助言をふまえてサービス管理責任者が作業内容を見直す
- 達成時期:長期1年/短期6か月
- 担当:職業指導員(作業の組み替え)、サービス管理責任者(半年ごとの見直し)
記入例7:働き方を選び直したい人
- 本人の希望:「今の作業には慣れた。ほかの働き方も知ってみたい」
- 長期目標:就労選択支援を利用して、次に目指す働き方を自分で決める
- 短期目標:就労移行支援と就労継続支援A型の見学に各1回行き、感想を面談で話す
- 支援内容:サービス管理責任者が相談支援専門員と連絡を取り、就労選択支援を申し込む時期を本人と一緒に決める。見学先は本人の希望を聞いてから3か所までに絞る。見学には生活支援員が同行する
- 達成時期:長期1年/短期6か月
- 担当:サービス管理責任者(関係機関との調整)、生活支援員(見学の同行)
記入例8:作業の正確さを上げたい人
- 本人の希望:「やり直しが多いのが悔しい。きちんと仕上げたい」
- 長期目標:担当している検品の作業を、最終の確認まで自分で行う
- 短期目標:作業の区切りごとにチェック表で自己点検し、1日2回記録する
- 支援内容:職業指導員がチェック表を本人と一緒に作り、項目は3つまでにする。やり直しが出た日は、手順のどこで起きたかだけを一緒に確かめる。月1回、サービス管理責任者がやり直しの件数の移り変わりを本人に伝える
- 達成時期:長期1年/短期3か月
- 担当:職業指導員(点検の仕組み)、サービス管理責任者(月1回の振り返り)
面接で出た本人の言葉は、その場でかぎかっこのまま控えておきます。あとから要約すると希望の角が取れて、どの計画にも当てはまる文になりがちです。
記入例を職員に配るときは、同じ利用者の計画が前回と今回でどう変わったかを並べて見せます。形をまねるだけの計画が減ります。
※これは制度上の必須要件ではなく、当事業所での運用例です。
工賃や生産活動は目標にどう書くのか
工賃の額は計画の必須の記載事項ではないので、本人が望むときにかぎって目標に入れます。
事業所の側には、工賃についての義務が別に置かれています。年度ごとの目標水準の設定と、利用者への通知、都道府県への報告です。
| 場面 | 条文が定めていること | 根拠 |
|---|---|---|
| 工賃の支払い | 生産活動に係る事業の収入から必要な経費を控除した額に相当する金額を、工賃として支払います。 | 第201条第1項 |
| 工賃の下限 | 利用者それぞれに支払われる1月当たりの工賃の平均額は、3,000円を下回ってはなりません。 | 第201条第2項 |
| 工賃の目標事業所として年度ごとに行います | 目標水準を設定し、前年度の工賃の平均額とあわせて利用者に通知します。都道府県への報告も必要です。 | 第201条第3項・第4項 |
| 個別支援計画の記載事項利用者ごとに書きます | 意向、総合的な支援の方針、課題、目標と達成時期、留意事項です。工賃の額は挙げられていません。 | 第58条第5項(第202条で準用) |
出典:厚生労働省 指定障害福祉サービス基準(平成18年厚生労働省令第171号)第58条第5項・第201条・第202条(2026-09-21確認) 原文 ↗
表の上の3つは事業所に課されたもの、いちばん下は利用者ごとに書くものです。年度の目標水準は事業所の数字なので、そのまま全員の計画に書き写さないでください。
本人が工賃を上げたいと話しているなら、目標に入れてかまいません。そのときは、金額だけを書かずに、どの作業をどれだけ担当するかまで書きます。受注が減った年でも、本人の変化を評価できる形になります。
生産活動の記録は、計画の材料としても使えます。担当した工程、作業の時間、やり直しの件数は、どれも面接で本人と確かめられる事実です。
工賃の通知は、金額の紙を配って終わりにしていません。担当している作業と工賃のつながりを一緒に見ると、そのまま次の面接の材料になります。
作業の記録は、支援員が毎日つけたものをそのまま使います。計画の時期だけ集める作り方にすると、面接の前に慌てることになります。
※これは制度上の必須要件ではなく、当事業所での運用例です。
在宅で利用している人の計画はどう書くのか
在宅利用では1週間に1回の評価と月1回の訪問または通所が要件なので、目標はその周期で測れる形にします。
在宅でのサービス利用の対象は、希望する人のうち、支援の効果が認められると市町村が判断した人です。報酬を算定できるのは、通知が挙げる7つの要件をすべて満たす場合だけです。
要件には、1日2回の連絡や助言と日報の作成、緊急時の対応、随時の照会に応じられる体制が入っています。評価は、訪問・通所・電話やICT機器の活用により1週間に1回行います。月の利用日数のうち1日は、訪問か通所で訓練目標に対する達成度の評価を行います。
在宅で実施する訓練内容と支援内容は、運営規程にも明記します。
事業所の外で働く形は、ほかにもあります。何を計画に書くことが求められるかは、形ごとに違います。
| 形 | 個別支援計画に求められること | 計画のほかに必要なこと |
|---|---|---|
| 施設外支援企業実習など | 事前に計画へ位置付け、1か月ごとに計画の内容を見直します。 | 運営規程への位置付け、日報の作成、緊急時の対応。1年に180日間が限度です。 |
| 施設外就労企業から請け負った作業を企業内で行う形 | 施設外就労を含めた計画を事前に作成します。対象者を事前に計画へ規定し、達成度の評価の結果、必要と認められる場合は目標や計画を見直します。 | 運営規程への明記、施設外就労の総数が利用定員を超えないこと、緊急時の対応。 |
| 在宅での利用市町村が支援の効果を認めた人 | 要件に個別支援計画の文言はありません。月の利用日数のうち1日の訪問または通所で、訓練目標に対する達成度の評価を行います。 | 運営規程に在宅の訓練内容と支援内容を明記、1日2回の連絡等と日報、1週間に1回の評価、緊急時の対応。 |
出典:厚生労働省 就労移行支援事業、就労継続支援事業(A型、B型)における留意事項について(平成19年4月2日障障発第0402001号・最終改正 令和7年3月31日障障発0331第2号)2の(1)〜(3)(2026-09-21確認) 原文 ↗
個別支援計画が要件に名指しで出てくるのは、施設外支援と施設外就労です。在宅の要件に、計画という言葉は出てきません。
それでも在宅の計画は書き方を選びます。月1回の評価で見るのは訓練目標に対する達成度だからです。達成度を測れる目標が計画になければ、この評価を書けません。
就労選択支援は計画とどう関わるのか
令和7年10月から、B型を利用する前のアセスメントは、原則として就労選択支援事業者が行います。
B型の対象者は、留意事項通知が3つ挙げています。
- 就労経験があり、年齢や体力の面で一般企業に雇用されることが困難となった人
- 50歳に達している人、または障害基礎年金1級を受けている人
- 上の2つに当たらない人で、アセスメントにより就労面の課題等の把握が行われている人
アセスメントが要るのは3つ目の人です。この部分が、令和7年10月から就労選択支援事業者によるアセスメントに変わりました。
例外も置かれています。近隣に就労選択支援事業所がない場合と、利用できる事業所が少なく待機期間が生じる場合です。この場合は、就労移行支援事業所等による就労アセスメントを経た利用が認められます。
通知は、アセスメントの結果が利用する事業所に引き継がれていない事例を問題として挙げています。結果を引き継ぐのは、計画を作る側の仕事になります。面接で本人に確かめ直したうえで、意向と課題に反映させてください。
関わりは、利用が始まったあとも続きます。本人の意向や知識、能力等に変化が見られる場合があるためです。通知は、計画相談支援を行う者等と連携して、就労選択支援に関する情報提供を定期的に行うよう求めています。モニタリングで意向の変化を拾ったときが、この連携の場面になります。
計画の見直しはいつ行うのか
B型の計画の見直しは少なくとも6月に1回以上で、状態が変われば周期を待たずに行います。
就労移行支援や自立訓練のように、6月を3月と読み替える定めはB型にありません。ただし6月は上限です。この間隔で足りるという意味ではありません。
計画がない期間は、その利用者について報酬が減ります。対象になるのは計画がない利用者だけで、サビ管欠如減算のように全員には及びません。作成されていない期間が3月以上になると、減算の幅が広がります。
- モニタリングの書き方 … 実施状況の把握と、面接・記録の決まり
- 個別支援計画未作成減算 … 3月ルールと減算の幅、対象になる利用者
次に読むもの
作成の手順と、B型の現場でのサビ管の動き方は別の記事にしています。
- 個別支援計画の書き方 … アセスメントから交付までの6段階と、同意・交付の決まり
- 個別支援計画の記入例・文例集 … グループホーム・生活介護の文例と、評価できない表現の直し方
- B型のサビ管の仕事内容 … 工賃の手続きと計画が、1年の中でどう回るか
よくある質問
個別支援計画の文例集(B型・グループホーム・生活介護)
長期目標・短期目標・支援内容の文例を、成人系のサービス3種類ぶん集めています。そのまま写さずに使うための考え方も添えています。
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