児発管に保育士からなるには?
保育園での経験は何年数えられるか
保育園(保育所)で働いた年数は、児発管の実務経験に数えられます。児発管の告示は、保育所と幼保連携型認定こども園を直接支援の対象施設に挙げているためです。
保育士は、告示の23の国家資格には入りません。社会福祉主事任用資格者等の側に入るので、直接支援の業務を通算5年で要件を満たします。
5年のうち、高齢者施設などの期間を除いて3年以上が必要です。保育園だけで5年働いた人は、この条件も満たします。保育園の期間は、サビ管の実務経験には数えられません。
- 保育士の経路
- 相談支援・直接支援を通算5年(社会福祉主事任用資格者等)
- 保育園・認定こども園の勤務
- 児発管では対象、サビ管では対象外
- 除かれる期間
- 高齢者施設・療養病床などを除いて3年以上
- 保育士資格がない場合
- 直接支援を通算8年
- 基礎研修を受けられる時期
- 通算3年に達して、5年まで2年以内になってから
目次
児童発達支援管理責任者(児発管)は、保育士の経験を生かしやすい職です。ただ、保育園の年数が何年分になるのか、保育士資格がどの経路に当たるのかは、原文を読まないと分かりにくいところです。ここでは告示の原文から、保育士の年数の数え方と最短の道筋を整理します。
保育園で働いた年数は児発管の実務経験になるか
なります。児発管の告示は、保育所と幼保連携型認定こども園を直接支援の対象施設に挙げています。
児発管の要件を定めているのは、平成24年の告示第230号です。この告示は、直接支援の業務を「障害があって日常生活に支障がある人または児童」への介護や訓練などと定義しています。支援の相手に、児童がそのまま入っているわけです。障害のある子どもだけに限った書き方ではありません。
対象の職場も、児童福祉の施設や事業が広く挙がっています。保育の仕事に近いものを拾うと次のとおりです。
- 保育所、幼保連携型認定こども園
- 小規模保育事業、家庭的保育事業、事業所内保育事業、居宅訪問型保育事業
- 一時預かり事業、病児保育事業
- 放課後児童健全育成事業(いわゆる学童保育)
- 幼稚園(学校教育法の学校として)
- 乳児院、児童養護施設、児童厚生施設 など
認可外保育施設は、告示に名指しされていません。「これらに準ずる施設」に当たるかは都道府県の判断になるので、申込先で確かめてください。
数えるのは、職場にいた期間ではなく直接支援の業務に従事した期間です。告示は、食事や排せつの介助、基本的な動作の指導、生活能力を高める訓練などを挙げています。実務経験証明書の業務内容欄で判断されるので、担当した仕事の中身を具体的に書けるようにしておくと安心です。
保育士資格は国家資格の経路(3年+5年)に入るか
入りません。国家資格の経路で名指しされている23資格に、保育士は含まれていないためです。
児発管の実務経験には、3つの経路があります。どれか1つを満たせば足ります。保育士が使うのは、社会福祉主事任用資格者等として数える5年の経路です。告示は、この「社会福祉主事任用資格者等」の中に保育士を名指しで入れています。
| 経路 | 必要な期間 | 保育士の場合 |
|---|---|---|
| 相談支援・有資格者の直接支援社会福祉主事任用資格者等 | 通算5年以上除かれる期間を引いて3年以上 | この経路を使う保育士は名指しで入っている |
| 資格のない人の直接支援 | 通算8年以上除かれる期間を引いて3年以上 | 保育士資格を取る前の期間はここに当たる |
| 国家資格の経路医師・看護師・介護福祉士など23資格 | 相談支援・直接支援3年以上 + 資格に基づく業務5年以上 | 保育士だけでは使えない23資格を別に持つ人は比べられる |
出典:厚生労働省 平成24年厚生労働省告示第230号 第一号イ〜ヘ(2026-09-21確認) 原文 ↗
「保育士は国家資格だから3年+5年」と考えると、ここでつまずきます。23資格は医療・福祉の資格が中心で、保育士は入っていません。ただし、保育士のほかに介護福祉士や社会福祉士を持っている人は別です。その資格の業務の年数で、3年+5年の経路も比べられます。
保育士資格を取る前に、保育補助として働いた期間がある人もいます。告示の文言では、資格のない期間は8年の経路に当たります。一方で千葉県と広島県の資料は、資格を取る前の期間も5年の年数に含めてよいと案内しています。扱いは都道府県で違うので、申込先の資料で確かめてください。
「児童・障害者の業務3年以上」とはどういう決まりか
5年のうち、高齢者施設などの期間を除いた期間が3年以上必要という決まりです。
告示は「児童や障害者の業務を3年」と書いているわけではありません。通算した年数から、決められた期間を差し引いて3年以上残ることを求めています。差し引く期間は次のとおりです。
- 老人福祉施設、介護老人保健施設、介護医療院での期間
- 病院・診療所の療養病床の病室での期間
- 老人居宅介護等事業(訪問介護など)での期間
- 地域包括支援センター、居宅介護支援事業などでの相談の期間
- 特例子会社などの障害者雇用の事業所での期間
保育所や認定こども園、保育の事業は、ここに入っていません。保育園だけで5年働いた人は、5年すべてが残るので、この条件も満たします。
気をつけたいのは、介護の仕事から保育に移った人です。たとえば特別養護老人ホームで3年、保育園で2年なら、通算は5年になります。それでも差し引くと2年しか残らないので、児童や障害の分野であと1年が必要です。
千葉県の実務経験一覧は、この決まりを「老人福祉施設・医療機関等以外での実務経験が3年以上必要」と要約しています。告示の原文で差し引く側に挙がっている医療機関は、療養病床の病室です。病院で働いた期間がある人は、申込先で扱いを確かめてください。
保育士は最短何年で児発管の実務経験を満たせるか
保育士資格があれば、保育園だけの経歴でも通算5年で実務経験を満たせます。
経歴の組み合わせごとに、何年で届くかを並べました。どの例も保育士資格を持っている前提です。
| 経歴の例 | 数えられる期間 | 実務経験を満たすまで |
|---|---|---|
| 保育園のみ5年 | 直接支援5年(差し引く期間なし) | 5年で到達 |
| 保育園3年 + 放課後等デイサービス2年 | 直接支援を通算5年 | 5年で到達職場をまたいで通算できる |
| 放課後等デイサービスのみ5年 | 直接支援5年 | 5年で到達 |
| 特別養護老人ホーム3年 + 保育園2年 | 通算5年。ただし差し引くと2年 | 児童・障害の分野であと1年 |
| 資格を取る前の保育補助3年 + 取得後の保育園2年 | 都道府県で扱いが分かれる千葉県・広島県は取得前も5年に含めてよいと案内 | 申込先で確認 |
出典:厚生労働省 平成24年厚生労働省告示第230号 第一号/千葉県 実務経験一覧(告示要約版)※2/広島県 児童発達支援管理責任者の要件について(いずれも2026-09-21確認) 原文 ↗
1年をどう数えるかは、告示本文には書かれていません。千葉県と三重県の資料は、1年を「業務に従事した期間が1年以上で、実際に従事した日数が180日以上」と案内しています。5年なら900日以上です。パートの期間が長い人は、日数も手元で数えておいてください。
年数の数え方や証明書の集め方は、児発管の実務経験の数え方で詳しく扱っています。
研修はいつから受けられるか
基礎研修は、実務経験の年数に達するまで2年以内になった時点から受けられます。
保育士の5年の経路なら、通算3年に達したころから基礎研修を受けられる計算です。告示は、基礎研修とあわせて相談支援従事者初任者研修の講義部分の修了も求めています。受け方は申込先の募集要項で確かめてください。
基礎研修のあとは、実践研修に進みます。実践研修を受けるには、基礎研修の修了後に相談支援か直接支援の業務を通算2年以上積む必要があります。基礎研修を受け始めた時点ですでに実務経験を満たしていた人は、個別支援計画の作成などの業務を6か月以上積めば進めます。
児発管として配置できるのは、実践研修を修了してからです。児発管が配置された事業所では、基礎研修の修了者に個別支援計画の作成などの業務を行わせることができます。
研修の募集は都道府県ごとに行われ、回数は多くありません。多くの県でサビ管の研修と合同で開かれています。流れと日程の探し方は、次の記事にまとめています。
保育士から児発管になったあとサビ管にも広げられるか
保育園の期間はサビ管の実務経験に数えられないので、障害福祉の職場での年数が別に必要になります。
サビ管の要件は、告示第544号という別の告示で定められています。こちらの直接支援の定義は、障害があって日常生活に支障がある人が相手です。児発管の告示のように「児童」は入っていません。対象の職場にも、保育所や認定こども園は挙がっていません。
一方で、児童発達支援や放課後等デイサービスなどの障害児通所支援事業は、サビ管の告示でも対象です。保育士はサビ管でも社会福祉主事任用資格者等に入るので、この職場での直接支援を通算5年で数えられます。
| 経歴の例 | 児発管 | サビ管 |
|---|---|---|
| 保育園のみ5年 | 実務経験を満たす | 数えられる期間なし保育所は対象施設に挙がっていない |
| 保育園3年 + 放課後等デイサービス2年 | 実務経験を満たす | 放デイの2年のみ障害福祉の職場であと3年 |
| 放課後等デイサービスのみ5年 | 実務経験を満たす | 実務経験を満たす |
出典:厚生労働省 平成24年厚生労働省告示第230号 第一号ロ/平成18年厚生労働省告示第544号 一 イ(1)(二)(いずれも2026-09-21確認)。準ずる施設と認められるかは都道府県知事の判断による 原文 ↗
サビ管として働くには、サビ管の実務経験を満たしたうえで、研修の要件も満たす必要があります。児発管との研修の関係や、両方を目指すときの順番は次の記事で整理しています。
次に読むもの
保育士としての道筋が見えたら、全体の要件と研修の順番を確かめてください。
- 児発管になるには … 3つの経路と研修の全体像
- 児発管の実務経験の数え方 … 対象の職場と証明書の集め方
- 児発管研修の流れ … 基礎研修から更新研修まで
- 児発管とサビ管の違い … 要件・研修・行き来のしかた
- 看護師・保育士からサビ管になるには … サビ管の側から見た保育士の経路
よくある質問
研修の事前課題・レポート記入例集
基礎研修と実践研修の事前課題について、何を書けばよいかを記入例つきでまとめています。自治体の様式に依存しない汎用の形です。
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